跡を絶たない児童虐待の現状

 

 

児童相談所に寄せられる児童虐待に関する相談件数は近年増加傾向にあります。
厚生労働省による調査結果では平成11年を堺に急激な増加傾向にあり、平成22年度時点での相談件数は56,384件になり、ここ10年間の間で約5倍にまで増加しました。

 
児童虐待の中には子供を死に至らしめる身体的虐待やネグレストと言われる養育放棄など、深刻な事件も多く含まれています。
深刻化した児童虐待が社会問題として関心が高まってきたことを背景に、民法の親権制限制度と未成年後見制度が改定されました。
改定後の民法制度により、家庭内で生じる子供の利益を損なう虐待行為に対して2年以内の期間を設け虐待を加える保護者から子供を切り離す事が可能になりました。
家庭裁判所は虐待を受ける子供の安全を図るべく、民法第834条により上記行為を承認する権限を有しています。
具体的な措置として、虐待を受けた子供の児童福祉施設への入所や里親への委託などを行います。
ただ、虐待が発覚した後に行使される措置にほかならず、子供の心のケアーが必要になります。

 
このような事態になる前に、第三者による虐待の可能性の申し立てや近隣住民のコミュニティーでの取り組みなどが求められる一方で、プライバシーの観点から家庭内の問題に第三者が言及する事が難しくなりつつある社会傾向にあるため、家庭裁判所の役割はますます重要になると考えられます。

 

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親権は「子どもの利益のため」のもの

夫婦は結婚をし、子どもを授かれば、その子を夫婦が協力して一人前の大人に育てていきます。しかし、必ずしもそうなるとは限りません。様々な事情で、夫婦の関係が損なわれ、婚姻関係を継続することが不可能になってしまうと離婚を選択せざるえないことがあります。そこでは夫婦の各々の幸せも大切ですが、子どものことを第一に考えなければなりません。

 
離婚をすれば夫婦は別々の場所に住むことになるため、夫婦共に子どもを育てるということはできなくなります。そのため、夫婦どちらかが親権を持って子どもの世話をすることになります。この権利は、未成年の子どもを監護、養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利、義務のことを指し、これにより離婚後も子どもは守られていきます。具体的には財産管理権と身上監護権が与えられることになります。前者は、その名の通り財産の管理の他に、子どもの法律行為に対して同意する権利を持ちます。後者は、身分行為の代理権、居所指定権、懲戒権、職業許可権が含まれます。
このようにして、離婚後には夫婦どちらかが子どもの利益のためこれらの権利を持ち、子どもの権利のために子どもを立派に育てることになります。